
前回の記事で、仕事を再定義する ①雇われ仕事は衣食住を確保するためにお金を稼ぐものと、②人生の目的を果たすという意味での仕事と区別すると書きました。
このように仕事を再定義すると何が起こるでしょうか。
①仕事の再定義は選択肢を増やす
例えば、生まれつき教師気質にも関わらず、給与が高いという理由でプログラマーの仕事についていたとします。生計をたてるためにやっていることがプログラミングだからプログラマーだと人に仕事を尋ねられた時に答えると思いますが、賃金と仕事のつながりを断った時、もう一つの選択肢が生まれます。
仕事は何かと尋ねられた時「私は教師ですが、今はお金を稼ぐためにプログラムを書いています」と自分が本当は何者かを認めることができます。そのことにより、今までのキャリア設計を見直すことができます。例えば、お金を貯めて、教師の資格をとるために学校に戻るかもしれません。プログラミングの仕事の時間を減らして、ボランティアで教師を始めるかもしれません。プログラミングを教えるかもしれません。
②仕事を再定義することで、自分の内面を軸に働くことができる
お金を稼ぐためにする仕事が本来の自分だと考えているときは、仕事で確実に生き残れるよう生活パターン等を仕事に合わせる必要があります。ただ、仕事と賃金を切り離すように、本来の自分とお金を稼ぐためにやることを区別できれば、自分自身や自分の価値観、信念、本当の才能、大切にしていることを自覚することで、自分の内面を軸にした働き方が可能になります。本来の自分を諦めることなく、仕事をすることができるのです。
③仕事を再定義することで、賃金労働者ではなく自らのライフデザイナーになれる。
給与が伴わない仕事、例えば修理の技術を取得し、デッキを自作し、ウエブサイトを運営し、ブログを立ち上げそこから収入をえることができるかもしれません。
また遊びでお金を稼げるようになったり、生活の一部となった作業でスキルを習得したり、人生の教訓を学び、それを他人に教えて収入になるかもしれません。
1つの仕事で得たスキルが別のスキルにつながるかもしれません。そればまた仕事になるかもしれません。
④仕事を再定義することで、リタイア後の人生が生き生きする
リタイアとは仕事を辞めることではありません。稼ぐための仕事を辞めることができる、というだけです。私たちは誰もが役に立ちたい、自分の貢献を他人に認めてもらいたいと思っています。仕事を賃金から切り離すことで、あらゆる役割、タスク、活動において価値ある人間になります。また、リタイアできる時期もずいぶん早まり、他の人のためにより多くの時間と才能を使うことができるようになるかもしれません。
⑤仕事を再定義することで、無給の活動を尊重できる
無給の仕事は価値がないと思われていないでしょうか。働いてお金を稼いでいなければ、キャリアを築いていなければ、雇われていなければ、自分は何者でもないという社会通念が私たちの文化にないでしょうか。
心の中の作業、自己内省、能力開発、瞑想等は、雇われ仕事や家事、庭仕事と同じように重要なものです。仕事と賃金を切り離せば、雇われ仕事と自分自身を同一視することによって本来の自分を見失うことはなくなります。
⑥仕事の再定義は仕事を遊びの垣根をなくすこと
仕事は真面目、遊びは不真面目。仕事は大人、遊びは子供。仕事は役立つが、遊びは役立たない、このように考えていないでしょうか。しかし、ある活動に集中している人を外から見ると、お金をもらって仕事をしているのか、ただ遊んでいるのか見分けがつかない人もいます。これこそ、仕事と賃金を切り離すことによる効果です。仕事と遊びの垣根がなくなり、人生のすべてが楽しく輝きます。
⑦仕事を再定義することで、余暇をより楽しめる
余暇の時間をす過ごしているときに、心の底から余暇を楽しんでいるでしょうか。頭の片隅に仕事のことが気になっている人が多いかもしれません。余暇の時間が居心地が悪いと感じることもあるかもしれません。もし雇われ仕事が自分自身でないとわかっていれば、余暇は自己損失にはなりません。仕事と賃金を切り離すことができれば、仕事のときは仕事に集中し、自由な時間のときは自分が選んだ活動にしっかり集中することができるようになります。
⑧仕事を再定義することで、「正しい生計の手段」に新たな解釈が生まれる
「正しい生計の手段」とは、あなたの本来の仕事、つまり天職でお金を稼ぐ方法を見つけ出すことです。
雇われ仕事をする年月を、天職に専念できるまでの準備期間ーそれぞれの仕事は重要なスキルを磨き、人脈をつくるためのものーと捉えることができます。好きでない仕事でどれだけ妥協していても、好きな仕事をしてお金をもらえていないくても、この仕事を生涯続けるのではなく、次の行動に向けた準備、最終的には経済的自立に向けた準備をしているのだととらえるのです。
(参考本)